2022.07.25
素敵なシルク素材。昔から大切にされてきたんですね!
大昔から愛されてきたシルク素材
今回は超デリケートな素材、シルクのお話です。
シルク素材は麻素材とならんで、最も古い繊維といわれています。
かつてシルクは大変貴重品で、金と同等の値打ちがあったそうですね。
シルクは、およそ紀元前20世紀頃の中国で使われ始めたといわれています。
中国の伝説によると、「皇帝」の皇女が繭で遊んでいて
お湯の中に落としてしまい、それを拾い上げようとして糸を操った事が、
絹糸作りの始めだったと言われているそうですよ。
中国の甲骨文字にも、桑、蚕、絲(いと)、帛(きぬ)などの文字がみられ、
また殷(いん)、周、漢などの時代のお墓からは蚕をかたちどった模造品も
たくさん発見されているんですって!
シルクは、昔から愛し続けられてきた素材なんですね。(*^_^*)
中国で発達した養蚕の技術は、長い間国外に持ち出す事が禁じられていました。
そのために、ヨーロッパでは「西域の王が自分の元に
嫁ぐ中国の皇女の髪の中に蚕や桑の実を隠し持ち込んでいた」とか、
「ビザンツの僧が竹の杖の中に蚕の卵を隠し持ち帰った」などなど・・・
なんとかして、シルクを手に入れようとしたエピソードがたくさんあったそうです。
約2500年前、絹織物が中国から他国へ伝わり、
シルクの美しさに引かれたいろんな国の商人は、海、山、砂漠など
危険な目に遭遇しながらも、絹を求めて、中国へ交易に行ったそうです。
のちのちシルクロードと呼ばれるようになったのは言うまでもありませんね。
ローマから長安までという説や、奈良の正倉院までという説がありますが、
実際には、シルクロードがどこからどこまでという定説はないんですよ。
日本に養蚕の技術が伝えられたのは、紀元前3世紀から、
弥生時代の頃だと考えられています。
この時代の北九州の遺跡からは、シルク布の断片が
いくつも発見されているそうです。
【魏志倭人伝】にも蚕を飼って、絹を作っていた事が書かれていますしね。
その後、世界の染色技術や織物技術が加わって、
絹織物分化を盛り上げて、どんどん普及していたんですね!
蚕さんのお話
絹は蚕が繭を作る為に吐き出す蛋白質繊維です。
繭は家蚕繭(かさんまゆ)と、柞蚕、
天蚕など自然のままに育てられた野蚕繭(やさんまゆ)があります。
繭からは繰り出された糸を(きいと)と言い、
一粒の繭から約1500mの細くて長い繊維が取れます。
1500mというと・・・50mプールを30往復ですよ!!
生糸の断面は2本のフィブロインという繊維を
セリシンという糊状物質が覆う形になっています。
石鹸などのアルカリ液で洗浄すると・・・。セリシンが除去され、
滑らかで光沢のあるフィブロイン(生糸)が得られるんですよ。
コレが、絹素材独特の光沢を放つんですね!
絹繊維そのものが、極めて細い繊維の集合組織であることから、
摩擦によって繊維が分繊化(フィブリル化)しやすく、
毛羽立ちやすいという性質を持っています。
なので、染みがついたら慌てて擦ったりしちゃ絶対にダメですよ!!!
フィブリル化をよく起こすアイテムといえば、ネクタイですね。
ネクタイについては、以前書きましたので、コチラを参考にして下さいね!
その他のシルク素材の特徴
紫外線を吸収しやすいです。
他の繊維に比べて、紫外線を吸収する性質があるので、
黄ばみや退色が起こりやすいんです。
日光の当たる所や、蛍光灯が当たる所は避けて下さいね。
よくショップのディスプレイなどでライトに当たった、
シルクのお洋服を見かけると、ちょっと心配になっちゃいます。(>_<)
見極め方としては、生地が重なって、
光の影響を受けない生地と比べてみて下さい。
ジャケットでいうラペル(衿)の裏とか、ポケットの中とか・・・。
色が違ったら、退色や黄変が起きている可能性が高いですよ。
水染みが出来やすいです。
蚕が繭の壁を作る時には、八の字に首を振りながら、
繊維を吐き出していきます。
そのために、縮れた状態になっているんですね。
水に濡れると繊維が膨潤して、
その部分の繊維だけが元の縮れに戻ろうとして、
乾燥してもなかなか元に戻すのが難しいんですよ。
高い吸湿性を持っています。
よく、高級ブランドの裏地に使われたりしていますよね。
やっぱし、着心地が違うんでしょうね?
汗をかいてしまったら、こまめなケアをしてあげて下さい。
そのままにしておくと、黄変やカビの原因になりますよ。
形態安定加工が難しい繊維の一つです。
イタリア製のスカーフで、プリーツ加工が施された物などもありますが、
じつは、洗濯ジワと同じ現象で、
濡らすとすぐに元に戻ってしまいますから、要注意ですよ。
ご家庭でお洗濯なんかは絶対にやめて下さいね!
なかなか長年愛用するのは難しいのかもしれませんが、
防ぐ方法としては、撥水加工を施してあげると、少しは持ちが良くなりますよ。
天然繊維の中の唯一のフィラメント繊維(長繊維)です。
フィラメント繊維は、紡績しなくても糸にする事ができるんですよ。
紡績した糸と比べると光沢のある生地を作る事ができるんです。
でも、着用動作によって、引っかかりやすく
引きつれが起きやすいのがちょっと難点ですね。
絹のメンテナンスは早めにプロにお任せした方がいい素材ですね!